西アフリカに位置するガーナでは、教育へのアクセスが徐々に改善する一方、学習の質と学校運営に課題が残っている。学校はその運営に必要な資源を十分確保できず、その結果、例えば初等教育4年生では40%、6年生では35%の児童が、算数能力と識字能力に関して習得すべき最低限の学力レベルを下回っていることが報告された(2018年の国家教育アセスメント)。こうした状況に対し、同国政府は教育戦略計画(ESP)やセクター中期開発計画(MTDP)(2022-2025年)を通じ、教育省から州、郡、学校の各レベルにおいてアカウンタビリティの構築や、学校運営システムの強化を優先事項に掲げ、教育行政全体のマネジメント強化、学校運営の改善および学習の質向上に取り組んでいる。
JICAは同国の教育政策、戦略計画を支援するため、2020年以降の4年間、コミュニティ協働に基づく教育改善アプローチを通じ、持続可能な学校運営を強化することを目的に「みんなの学校:コミュニティ参加型学習改善支援プロジェクト(COMPASS)」の実施を支援した。イースタン州、ボルタ州、オチ州の対象校 1,860 校における約44万人の児童を対象に、学校運営委員会(SMC)の民主的設立、学校改善計画 (SPIP)の作成と財務管理、内部モニタリング、SMC連合の設立と機能化などの推進に努めた。
同プロジェクトでは、算数補習授業を通じ、算数学力到達率が30ポイント以上押し上げられるなどの成果につながった一方で、教育省内の実施体制やSMC制度の維持、補習授業の費用負担などの側面で、持続性に課題が残った。これを踏まえ、本フェーズでは、SMCを通じた教育マネジメントの強化を実現し、持続的に子どもの学習改善を図ることができるよう、全国普及に必要な制度面の整備や教育省関係者の能力強化、補習授業手法の効率化を促し実施体制の強化を支援する。また、MTDPおよび年間活動計画にCOMPASSモデルの普及を取り込み、教育省をはじめとする関連省庁の予算確保と、普及活動の自立的、持続的推進を支援する。
なお当社は、株式会社国際開発センターが主契約者として受注した本案件に、共同企業体の構成員として、副総括を含む3名が参画し、株式会社パデコとともに業務の遂行と成果の発現に尽力する。