プロジェクト紹介/現場レポート

  • 基礎教育
  • 2021年07月 ~2025年06月
  • 技術協力プロジェクト
【ニジェール】
みんなの学校:コミュニティ協働による基礎教育の質及び男女間公平性の改善プロジェクト

ニジェール共和国政府は、教育の重要性を強く認識し、近年国家予算の25-30%を教育分野に割り当てており、初等教育における純就学率を30.4%から65.1%に、前期中等教育では5.3%から 20.1%に押し上げることに成功した一方、初等教育及び前期中等教育における総就学率のジェンダー格差指標(男子総就学率に対する女子総就学率の割合)は、それぞれ0.86、0.75(2017 年、世界銀行)にとどまり、また国際学力調査の仏語圏アフリカ学力調査では常に下位に甘んじており、アクセスに加え、公平性や教育の質が課題となっている。

同国政府は、「教育及び研修・職業訓練セクター計画戦略文書(PSEF)2014~2024」の中で、初等教育の3つの主要な柱の一つに生徒間の公平性の改善を打ち出し、前期中等教育の重点として、就学率及び残存率の向上や、学習の質の改善を掲げ、横断的なテーマとして、女子の就学促進と女子のための教育の質の改善を強調している。さらに、これらを推進するために、校長、教員代表、保護者会代表、母親会代表から編成される学校運営委員会(初等教育では「CGDES」、前期中等教育では「COGES-ES」)の役割や能力、学校運営に関する権限の強化を図ることが明記されている。

日本政府は、「対ニジェール共和国国別開発協力方針(2019 年 9 月)」と「対ニジェール共和国事業展開計画(2019 年 9月)」において、教育へのアクセス・質の向上を重点分野の一つに据え、女子就学率向上も重視しつつ、初等・中等教育へのアクセス改善、教育内容及びマネジメントの質的向上に資する支援を行うことを方針として掲げた。

JICAは、「みんなの学校:住民参加による教育開発プロジェクト」(2012~2016年)及び同フェーズ2(2016~2021年、以下「先行フェーズ」)を通じ、機能する前期中等教育の学校運営委員会(COGES-ES)モデルや、それを基礎モデルとして活用しながら様々な教育課題を解決する応用モデル、「フォーラムアプローチ」や「質のミニマム・パッケージ(PMAQ)」等の開発・普及を支援し、初等教育から前期中等教育にかけてのアクセスの改善や、小学校低・中学年における教育の質の向上に寄与してきた。

ニジェール教育省はJICAに対して、これまでに設立された機能する学校運営委員会を通して、基礎教育における男女間の公平性と、小学校高学年や中学校での教育の質の改善を目指す「みんなの学校:コミュニティ協働による基礎教育の質及び男女間公平性の改善」プロジェクト」を要請し、2020 年 11 月に詳細計画策定調査が実施され、本プロジェクトの枠組み合意を経て、今般実施の運びとなった。

弊社は、延べ6名のコンサルタントを派遣し、過去の経験とノウハウを活用し、本プロジェクトの運営に従事している。

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