プロジェクト紹介/現場レポート

  • 保健医療
  • 2020年05月 ~2021年03月
  • 国内役務
【日本国内、タイ】
高齢化分野課題対応力強化国内受託業務

日本の高齢化率は2018年時点で28.1%(内閣府「令和元年版高齢社会白書」)であり、すでに超高齢社会に突入している。他方、開発途上国の高齢化率は2015年時点で7%にとどまるが、今後急速に高齢化が進み、2050年には高齢者の約8割が先進国ではなく開発途上国に居住していると予測されている。日本がはじめて高齢化率7%に達し「高齢化社会」となったのは1970年であり、その24年後の1994年に高齢化率14%に達し「高齢社会」となったが、アジア各国では今後、日本を上回るスピードで高齢化が進展すると予想されている。従って、開発途上国においても、高齢社会・超高齢社会を迎える前に、中長期的な視点に立って高齢化対策を講じていくことが不可欠である。

SDGsの目標3「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」やユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)を達成するためには、高齢者の健康やケアのニーズについて考慮する必要があり、近年は世界保健機関(WHOやアジア開発銀行(ADB)等の他の開発パートナーも、高齢化対策分野の協力を始めている。

日本政府は、「国際・アジア健康構想」を通じて、官民連携で介護事業者の海外進出や介護人材育成の後押しを開始している。こうした状況の中、JICAでも上記取組みに先駆けて、「課題先進国」日本として、日本の経験を活用した協力を展開してきた。具体的には、社会保障制度の構築を含む高齢化を支える政策の策定支援や、医療・社会保障費の増大、医療・介護サービスに係る人材不足等に関連した課題に対応するための制度設計および運営、施設整備、人材育成等に関して、2000年代半ばから開発途上国の高齢化対策への支援を実施してきた。さらに近年は、技術協力プロジェクトのみならず、アジア諸国を中心として草の根技術協力事業や民間連携事業、ボランティア事業を通じた高齢化対策支援分野の実績を重ねてきた。

本件業務は、上記で示された背景の下、JICAの高齢化対策分野の課題対応力の強化を目的としたものである。当社は、当該分野の専門家をインハウスコンサルタントとしてJICAに派遣し、高齢化分野に関する課題情報の収集や指針の作成支援、JICA内の高齢化タスク活動の支援や外部・内部向け情報発信用の資料の作成等の業務に従事し、対応力強化プロセスを支援した。

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