2021 -2022 年度 アフリカ地域保健分野及び感染症対策 課題対応力強化のための情報収集・分析業務

 感染症の流行や低栄養、母子保健などの保健医療分野における課題は、特にアフリカ地域において、人々の健康だけでなく、経済・社会にも多大な影響を与えている。WHOアフリカ地域における妊産婦死亡率は525(出生10万対)、新生児死亡率は27(出生1,000対)など、主要な保健指標は総じて悪く、その原因の一つとして脆弱な保健システムが挙げられる。
 このような状況に対し、日本は2019年に開催された第七回アフリカ開発会議(TICAD7)において、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)拡大とアフリカ健康構想を表明し、300万人の基礎医療アクセスや衛生環境の改善、健康保険の普及などを目標として掲げた。当機構は、強靭で持続可能な保健システム構築のため、これまで①Finance、②Service、③Equity、④Preparedness、⑤Governanceの5領域に力を入れ、保健行政の能力強化や医療保障制度の支援、感染症対策、母子保健サービス改善、保健人材開発などの協力を展開してきた。
 感染症については、世界エイズ・結核・マラリア対策基金を中心とした取り組みにより過去15年間にHIV/エイズ、結核、マラリアの感染はいずれも減少し、MDGsの関連目標は達成されたものの、いまだ年間1,000万人が感染症で死亡していると推計されている。持続可能な開発目標(SDGs)(2015年9月採択)においても、保健関連目標の重要な焦点の一つとして、ターゲット3.3に「2030年までに、エイズ、結核、マラリア、NTDsといった感染症の発生を抑えるとともに、肝炎、水系感染症その他の感染症に対処する。」と位置付けられている。
 2014年には米国政府が主導した国際保健規則(International Health Regulations: IHR)を踏まえ、感染症全般を予防・発見・対応する能力を強化するための計画である世界健康安全保障アジェンダ(GHSA)が策定され、2020年初頭から全世界に拡大したCOVID-19や、将来起こりうる感染症等の公衆衛生上の危機に備える体制整備に不可欠なものであるということが国際的に認識共有されている。
 このような状況に対し、JICAは感染症対策分野においては、IHRコア能力の強化、強靭な保健システムの構築などの横断的なアプローチに重点を置いて活動に取り組んでいる。具体的には、サーベイランスや検査室能力、研究能力の強化、また、国境を越えた取り組みも不可欠であるため、関連するパートナー(例:アフリカCDC等)とも連携し、地域の感染症対策への支援も実施している。
 本業務は、保健医療分野の事業の推進及び2022年に開始予定のTICAD8の準備のために、アフリカ諸国の保健分野の基本的な情報について収集すること、また三大感染症や新興・再興感染症を主とする世界の感染症に関する専門的情報の収集、課題分析を実施し、JICAが各国・地域に対する協力方針を検討し、国際会議・研究等の世界的潮流にJICAの考え方を適切に反映させることの支援及び基礎情報収集を目的として実施されている。